開発事例:車載の電装品評価自動化のためのフェージングシミュレ―タカスタマイズ


こんにちはドルフィンシステムの笹生です。

今回もフェージングシミュレ―タのカスタマイズに関する開発事例の記事になります。

弊社では、フェージングシミュレータ用の FPGA  IP コアを自社製品として開発しており、その資産を活用してお客様に合わせたソフトウェアのカスタマイズをしています。

前回のドローン向けのフェージングシミュレータもカスタマイズ事例ですが、今回は車載電装品の評価自動化に使える形にカスタマイズをさせていただいた事例です。

お客様である自動車メーカーは、車両に搭載される電子制御ユニット(ECU)や各種電子コンポーネントの機能や耐久性を効率よく評価するため、ソフトウェアで柔軟に制御できる自動テストシステムを導入しました。

このテストシステムは、FPGAを活用したシミュレーションエンジンや、専用の開発環境によるソフトウェア、さらにロボットや画像処理システムを用いたタスク自動化の機能を含んでいます。そして、ノイズやGPSの信号を模擬する装置に弊社のフェージングシミュレータがカスタマイズされた形で組み込みまれました。

この自動テストシステムにより、従来は人手に頼っていた操作や判定作業を大幅に削減し、作業工数を90%削減、年間で多額のコスト削減が実現しました。さらに、複数の電子部品が連携する複雑なシナリオの評価も可能となり、製品品質と開発効率の両立に貢献したそうです。

NI FlexRIO への実装カスタマイズ

今回の弊社のフェージングシミュレータ Riviera のカスタマイズは、NI PXI シャーシに挿入して使用するモジュール式計測器と連動して動作する FPGA ボード FlexRIO というボードに実装しました。

具体的にはソフトウェアが生成したテスト用GPS信号をFlexRIO に実装された Riviera フェージングシミュレータに入力し、自動テストに合わせたドップラーや減衰を付与してモジュール式計測器の RF-SG に渡すことであたかも車両が受信している GPS信号を再現する機能です。

その際、下図のように P2P(ピアツーピア) ストリーミング機能を使って RF-SG に渡すようにしているので、CPU の介在しない直接転送ができます。

P2P の詳しい解説はこちらになります。



まとめ

今回ご紹介した事例は、当社フェージングシミュレータ「Riviera」の柔軟なカスタマイズ性と、FPGAベースの高精度な無線信号再現技術が、自動車分野の高度な自動テストニーズに応えられることを示す好例です。

特に、GPS信号に対するリアルなドップラーや減衰効果を付与し、あたかも走行中の車両が受信しているような信号環境を再現できた点は、お客様の高い評価につながりました。また、P2PストリーミングによるCPU負荷ゼロの信号伝送により、システム全体のリアルタイム性と信頼性も担保しました。

このように、弊社ではRiviera IPコアをベースに、お客様ごとの環境や評価対象に応じたカスタマイズを柔軟に行うことで、研究開発や品質評価における課題解決を強力にサポートしています。是非お気軽にお問い合わせください。

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