tinySA を使ってみた (2)


こんにちは、ドルフィンシステムの笹生です。

今回も前回に続き、「Tiny Spectrum Analyzer (tinySA)」についてお送りします。

前回はとりあえずの 1st インプレッションでした。今回はもう少し掘り下げたいと思います。

PCにつないでコマンドで校正値を確認してみた


前回、High モード を校正してみて、信号を見てもあまり性能は良くないのでは?ということでお伝えしました。
色々調べていると、かなり tinySAを使いこなしていらっしゃる方のブログ記事があり、大変参考になりました。こちらでも校正されていますが、High は厳しいとのこと。

「tinySA: HIGH側のキャリブレーション」
「tinySAで2mの第三次高調波は測れるか?」

この記事によりますと Low については補正値が複数の箇所で持っているようですが、High の校正ではこちらで書かれているように 1点だけの校正のようなので、そこから離れた周波数ではちょっと怪しい可能性がありますね。しかも High 側の入力段にフィルタがないので帯域外の信号の影響がでてしまうとの事。。。

これらの記事を参考に実際に手持ちの tinySA ではどのような校正値の設定が保存されているのか確認してみました。
まずは、PC (Win10) と tinySA を USB で接続します。
すると以下の様に USB シリアルデバイスとして認識されます。

ターミナルで、9600ボー、8bit パリティなしで接続できます。
接続して、校正データを確認するコマンドの leveloffset と correction コマンドを実行してみます。


手持ちの tinySA の校正情報はこのようになっているようです。
10k, 100k, 200k, 500k, 50M, 140M, 200M, 300M, 330M, 350M (Hz)に補正値を持っているようです。
これらは Low モードの周波数ですね。
High の周波数補正はおそらく前回校正した周波数で設定したオフセットになっているのだと思います。

ターミネータをつけてノイズレベルを見てみる


入力の SMA にターミネータをつけて、5分程度 Max Hold してノイズレベルを計測してみました。
●Lowモード
0Hz~350Hzまで (Full Span)
頻度は低いのですが、まれに240MHzあたりに信号が飛び込んできました。レベルも-65dBmくらいなので、まぁまぁ大きいかと思います。ただ定常的ではないので、何とも言えないです。

原因までは判りませんが、シールドしていないので飛び込んできたのでしょうか。。。

●Highモード
240MHz ~ 960MHz まで (Full Span)
これは切り替えてから定常的に、いくつか信号が乗っている感じに見えます。
レベルは-94dBm 程度なので小さいといえば小さいんですが。
何ともコメントしずらいです、、、

スイープ信号を入力してみる


周波数ごとにレベルが安定しているかを見るために弊社所有の SG からスイープ信号を出し、分配して、tinySA と他の SA で MaxHold 設定で計測して比較してみました。

VST SG : VST (PXIe-5646R)のSG機能 にて 以下の設定で 100MHz ~ 350MHz まで -30dBm で周波数をスイープして出力します。

VST SA :  VST (PXIe-5646R)のSG機能 にて100MHz~350MHz の帯域を MaxHold で観測した結果

tinySA で100MHz から 350MHz での帯域を MaxHold で観測した結果。

元々 VST自体が低い周波数は少し安定しない傾向もあるようなので、VST SA のほうもビシッと一直線ではないのですが、TinySA のレベルを見ても、そんなにひどくはないように思えます。

まとめ

今回は、PCとつないで補正値について確認したり、ノイズレベルを計測したり、スイープでレベルが安定しているかを測ってみました。
記事としての内容は非常に薄くなってしまいすみません。ただ今回の計測を通じて色々調べていくと、意外と深いなぁと思いますし、計測機としての精度はもちろん期待するほどでないかもしれませんが、アプローチやアイディアはすごく面白いです。(実際ソフトよりもハードウェアの部分の作り、部品の選定などが重要なんだろうなぁとは思いました。)





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