MATLAB・Simulink 環境の USRP E310 サンプルを動かしてみる!(1) 環境構築インストール編



こんにちはドルフィンシステムの笹生です。

USRP シリーズの開発環境は C++や Python、LabVIEW などいくつかありますが、今回は MATLAB・Simulink からも USRP E310 の開発 (FPGAも!)ができるので試してみた内容を共有させていただければと思います。

手順等がそれなりにあるので、数回に分けて紹介したいと思います。
さて今回は (1) 環境構築インストール編です。

実はこの環境構築編が一番手順的にボリュームがあったりするので、2つに分けて前編のインストール編、後編の構成編でお送りしたいと思います。

USRP E310とは?

Ettus Research 社が開発しているソフトウェア無線機 USRP シリーズの 1つに Embedded シリーズというものがあり、E310 はその中の一つです。
2x2 MIMO に対応し、周波数は 70MHz ~ 6GHz までをサポートしていると謳っています。
https://www.ettus.com/all-products/e310/

特徴は以下のようなところです。
・大きさが133 x 68.2 x 26.4 mmで USRP シリーズの中では手のひらサイズでコンパクト
・Zynq 7020 という SoC (System on Chip) を搭載
・E310 単体でソフトウェア無線を構築できる

他の USRP シリーズは基本的に PC と接続した状態で使用しますが、Embeddedシリーズは名の通り何かに組み込んで単体で使用することを念頭に開発されたソフトウェア無線機と言えそうです。

環境を構築していきます-まずは必要なツールキットについて

USRP E310 を MATLAB・Simulink から開発する場合には最低限必要なツールキットを入手しなくてはいけません。これは次の項で説明するアドイン・ハードウェアサポートパッケージの導入にあたり要求されるツールキットを予め導入する必要があるためです。

MATLAB、Simulink のインストールに加え、以下のツールボックスを入手してインストールします。これらは基本的に有料ですので購入するにしても評価版で試すにしても、入手するには Mathworks 様へ問い合わせをする必要があります。

Fixed-Point Designer
Embedded Coder
MATLAB Coder
Simulink Coder
HDL Coder
Communication Toolbox
DSP System Toolbox
Signal Processing Toolbox

FPGAコンパイルのための Vivado インストール

今回後程使用する E310 のサンプルでは、MATLAB・Simulink から E310 の FPGA も開発します。その為、FPGA のコンパイラとして別途Xilinx 社の Vivado 開発環境をインストールする必要があります。

幸い、E310 に搭載されている FPGA (SoC) :Xilinx 社 Zynq 7020 は、Vivado の無償版である WebPack でコンパイルすることが可能です。
(弊社で動作確認したのは WebPack ではなく、別途正規ライセンスを取得してある 2018.2 というバージョンを使用しております。)

以下から Vivado の各バージョンのダウンロードが可能です。
https://japan.xilinx.com/support/download/index.html/content/xilinx/ja/downloadNav/vivado-design-tools/archive.html

アドオン・ハードウェアサポートパッケージのインストール

次に無料のアドオン・ハードウェアサポートパッケージ等を追加でインストールします。
MATALB のメニューにあるアドオンから入手します。


以下のパッケージを選んでインストールします。
検索窓で「Zynq」に関係するアドインを検索します。いくつか表示されますが、以下の 3点のアドオンを選んでそれぞれインストールします。
・Communications Toolbox Support Package for Xilinx Zynq-Based Radio 
・Embedded Coder Support Package for Xilinx Zynq Platform 
・HDL Coder Support Package for Xilinx Zynq Platform

続いて「MinGW」で検索し以下のアドオンをインストールします。
・MATLAB Support for MinGW-w64 C/C++ Compiler 

最後に「E310」で検索して以下のアドオンをインストールします。
・Communications Toolbox Support Package for USRP Embedded Series Radio

基本的にどのアドオンも指示に従って簡単にインストールすることができます。

最後の E310 用のアドオンのインストールについてだけ、インストールとその後の構成があるため少々解説します。

ライセンスについて、内容を確認し承諾します。


サードパティ―ソフトのインストールについてです。次へを押します。


ダウンロード等を開始し、インストールが始まります。それなりに時間がかかります。


インストール中に放っておくと(ノートPC などでスリープ等になってしまうと)このようにタイムアウトしてしまうときもあったりするようなので注意してください。



インストールは完了しましたが、これで終わりではありません。
この後、ダイアログの記述にあるように「構成」という作業が必要になります。

この「構成」の作業については次回環境構築編 - 後編にてお知らせしたいと思います。
「構成」作業では実際に E310、SDカード、ループバック用のケーブルなど実機環境が必要になります。

まとめ

今回から数回にかけて 「MATLAB・Simulink 環境の USRP E310 サンプルを動かしてみる!」というテーマでお送りします。

Ettus Research の UHD や GNU Radio 環境以外で、E310 のソフトウェアも FPGA も開発できる環境です。無線通信の信号処理に強い MATLAB・Simulink が直接開発に使えるので、使いこなせれば E310 の開発でかなり有用な環境ではないかと思っています。
次回は(2) 環境構築編ー構成編をお伝えしようと思います。


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