実際の RF信号レベルと、デジタル IQ 信号のレベルの関係性について-4

皆様こんにちは、ドルフィンシステムの笹生です。

引き続き、USRPなどのソフトウェア無線機での RF 信号レベルとデジタル IQ 信号レベルの関係について調べたいと思います。

今回は USRP 2943R の受信側での入力レベルと IQ 16bit データの関係についてです。

USRP-RIO のサンプル (NI-USRP Simple Streaming) では受信側のレベルに相当する設定で 「Reference Level」という設定があります。

これは ADコンバータ出力の最大振幅が設定した「Reference Level」であるという意味だと解釈しました。

つまり、「Reference Level」=0dBm の設定の時には、0dBm の信号が入力されると、ADコンバータでのデジタル出力が 16bit 整数の最大振幅の+/- 32767 になる設定だと考えます。

実際にはどうなのか以下の様にして検証してみました。

検証:受信レベルとデジタル IQ 信号レベルの関係

送信信号の設定は以下の様にしました。

信号発生器

PXIe-5646R VST

送信信号周波数

2GHz

送信レベル

-15dBmUSRP RIO の入力 max -15dBm とされているため)

受信信号のレベル

-15.4dBm(ケーブル損失約 0.4dB)

clip_image001

USRPの受信設定は

対象 USRP

USRP-2943R (40MHz BW)

周波数設定

2GHz

LO 周波数

1.98GHz (DCオフセットの影響を避けるためローカルをずらします)

Reference Level

0dBm

clip_image002

結果、取得できた受信デジタル IQ 16bit の振幅は約 +/- 4670 でした。

16bit 整数で表現できるの最大振幅は 32767 ですので、4670 ですと

4670/32767=0.1425

でフルスケールにたいして 0.1425 の振幅となります。

これを dB 換算しますと-16.9dB になります。


実際の信号レベルは -15.4dBm ですから、フルスケールの振幅は

-15.4 –(-16.9) = +1.5dBm

の入力レベルで最大振幅に なることが予想されます。

設定は 0dBm でしたから、フルスケールは設定値に対して +1.5dB ほどあることになります。

設定では 0dBm ですが、USRP 2943R の仕様での入力レベル max は -15dBm ですのであまり大きい信号は入力できません。そこで今度は -15dBm の送信信号で ADコンバータの出力が最大振幅になるであろう受信設定の Reference Level を -15dBm にして計測してみます。

clip_image003

Reference level -15dBmで、受信信号 -15.4dBm では、デジタル IQ の振幅は +/- 25728 でした。

25728/32767 =0.7852 → -2.1dB

フルスケールは -15.5-(-2.1)=-13.4 dBm の時になることが予想されます。

設定は -15dBm でしたから、フルスケールは設定値に対して +1.6dB ほどあることになります。

上記から、Reference Level の設定はほぼ想定通り ADコンバータの最大振幅に対しての値ですが、1.5~1.6 dB 程のマージンがあるようです。

まとめ

Reference Level で設定した値は、その信号レベルでデジタル IQ 16bit フルスケールに近い振幅を得ることができ、マージンとして 1.5~1.6 dB 程余裕があることがわかりました。

個々のデバイスによっても多少の違いがあるかもしれません。また機会を見て調査したいと思います。

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