実際の RF信号レベルと、デジタル IQ 信号のレベルの関係性について-3

皆様こんにちは、ドルフィンシステムの笹生です。

 

前回(http://dolphinsasoh.blogspot.jp/2018/03/rf-iq-2.html)に引き続き、USRPなどのソフトウェア無線機での RF 信号レベルとデジタル IQ 信号レベルの関係について調べたいと思います。

 

今回受信側について調査する予定でしたが、前回のメールニュースの後、日本ナショナルインスツルメンツの稲毛様から貴重なご意見を頂戴しましたので引き続き送信側の調査をしてみたいと思います。(いつも貴重な情報をありがとうございます)

 

一部引用させていただきます。

「設定しているOutput Powerは、送信信号の振幅が1の時(2^15=32767)に、設定したOutput Powerが送信されるという設定値になります。

今回のケースでは送信信号の振幅が0.5(2^14=16384)ですので、設定値よりも6dB低くなるのが期待値となります。

あとは、RFケーブル等のロスと、スペアナ側の確度もありますので、

ケーブル差分や、スペアナ側の確度をある程度見る意味で、

5644R(VST)から出力した同じ電力の信号を、同じケーブル+同じスペアナを使用して確認すると、差分が見えやすくなるかなと思っております。

USRP-RIOとしては、それなりの確度(感覚的にですが±1dBくらい)が出ているのではと思っております。

(もちろん保障はしていない製品ではありますが)」

-引用終わり-

 

ということで、基本的には 16bit の最大振幅である 32767 の振幅の時に設定した Output Power の電力で送信される設計になっているようです。

 

最大振幅で送信してみる

では最大振幅で送信をしてみます。

今回使用した USRP USRP-2943R です。

 

サンプルプログラムのデフォルトでは 0.5 = 16384 になっているので、1.0 =32767 にします。変更箇所は Configure Tx.vi です。

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ここが 0.5 だったのを 1 に設定変更します。

 

Output Power はデフォルトの 0dBm にします。

 

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※振幅が 1Vp-p の表示ですが、表示だけで実際は 16bit で最大振幅の 32767 の振幅で DAC に渡っています。

 

今回使用したケーブルの損失は別途計測した結果 0.43dB 程度でした。

 

結果

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結果は Output Power 0dBm 設定レベルに対して、スペアナでのピークが約 -2.43dBm でケーブル損失分 0.43dB を加味すると約 -2dBm USRP の出力だとなりました。

 

前回の結果でについても 0.5= 16384 の設定時に -8.73dBm だったので、振幅が半分の -6.02dB とケーブル損失の0.43dB を考慮すると設定に対してやはり -2dB程度で出力されているようです。


まとめ

 

実際にはスペアナの確度や送信する中心周波数による違い、USRP の個体差などもあると思うので、一概には言えませんが、今回の条件では送信電力は設定より若干小さめに出ているようです。

 

今回計測に使用したのは USRP-RIO 2943R でしたが、機会をみて他の型番 (2954R) でも試してみたいと思います。

次回も引き続き実際の RF信号レベルと、デジタル IQ 信号のレベルの関係性について調査を続行していきます。



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