こんにちはドルフィンシステムの笹生です。
福島のブログでも紹介していましたが、9月16日に開催された NI Days Japan 2026 で、弊社フェージングシミュレータ(チャネルエミュレータ)の次世代版 Riviera-NEXT の動態展示を行いました。ご来場いただいた皆様方には御礼申し上げます。
非常に楽しみにしていた NI Days でしたが、不注意からけがをしてしまい、残念ながら当日は参加できませんでした(泣)。会場で直接お話ししたかったこともたくさんあったのですが、今回はブログと動画でご紹介します。
今回展示したのは、小型のUSRP E320を使った、月通信を想定した長遅延環境での映像伝送デモです。
地球と月の間では、電波が片道を進むだけでも約1.3秒かかります。普段の無線通信とは桁の違う遅延ですが、この条件を実験室で再現し、実際の無線機を接続して通信させました。
デモではRiviera-NEXTで片道1.282秒の遅延を付与し、端末間のpingでは往復約2.57秒を確認。さらに、その状態でIP通信と映像伝送を行いました。もちろん、本当に月へ電波を飛ばしたわけではありません。地上にある装置で、月までの伝搬時間を模擬したものです。
小型のUSRP E320で、超長遅延、NTN LEOの高速なドップラーや遅延の変化のシミュレーションにも対応できるという事をお見せしておりました。
事前に制作した 60秒 紹介動画をYouTubeに公開していますので、こちらをご覧いただけるとデモ内容がわかりやすいと思います。
SDRチャネルエミュレータ Riviera-NEXT とは
電波の伝わり方を変えて、実際の無線機を試す。これがチャネルエミュレータの役割です。
現実の無線通信では、電波は直接届くだけでなく、建物や地面で反射したり、移動によって周波数が変化したりします。複数の経路を通った電波が重なることで、受信信号が強くなったり弱くなったりするフェージングも発生します。
Riviera-NEXTは、こうした伝搬遅延・ドップラー・マルチパスフェージング・雑音などの条件を設定し、USRPのFPGA上でリアルタイムに模擬します。無線機やモデムを接続すれば、設定した伝搬条件の下で通信がどう変わるかを調べられます。
例えば、受信が難しい条件で通信を維持できるか、端末が周波数変化に追従できるか、長い遅延によって再送やタイムアウトがどう変わるか。現場では繰り返しにくい条件を、実験室で設定して比較できることが大きな利点です。
今回は展示として分かりやすい月通信を題材にしましたが、開発の対象はもっと身近な無線評価にも広がっています。
Rayleigh/RiceフェージングやAWGN、3GPPのTDL/CDLモデルを使った基本的な端末評価に加え、LEO衛星の移動に伴う遅延・ドップラーの変化や、NTN向けのチャネル評価にも取り組んでいます。利用できるモデルや条件の範囲は、USRPの機種、FPGA構成、ライセンスによって異なります。
操作はブラウザのWeb UIから行えます。まず標準モデルで試し、必要に応じて独自のパス条件を作る。条件をファイルに保存したり、APIから試験を自動化したりと、研究の進め方に合わせて使える環境を目指しています。
ホームページもリニューアル
また、Rivieraのホームページもリニューアルしました。
製品の概要に加え、用途別の構成や技術仕様も掲載しています。3Dシーンから伝搬条件を作成・可視化する Riviera STUDIO についても紹介していますので、ぜひご覧ください。
現在は、市販のFPGA搭載USRPを幅広く活用できるよう、対応構成を拡充しています。小型のE320から、より高いサンプルレートや多チャネル構成が必要な用途まで、研究テーマに合わせて選べるように開発を進めています。
「研究室にあるUSRPを、チャネルエミュレータとして使えないか」というご相談も歓迎です。機種や必要な帯域、リンク数、遅延などを伺い、適した構成を検討します。すべての機種・機能の実機検証が完了しているわけではありませんので、ホームページでは実装状況と実機で確認した範囲を分けて掲載しています。
展示後も開発は続いています。実測したチャネルの統計特性や、レイトレーシングによる伝搬解析結果を試験条件へ取り込む機能も追加しました。こちらはRFでの再現性を検証していく段階ですが、標準モデルに加えて、お客様の現場や研究対象に近い条件で評価できるようにしていきたいと考えています。
SDR・無線技術をより身近に。
手軽に始められて、必要なところは研究に合わせてカスタマイズできる。そんな試験環境を、Rivieraを通じて提供していきたいと思っています。
「この条件を再現したい」「この無線機で試したい」といったテーマがありましたら、ぜひドルフィンシステムへご相談ください。
また収録再生とも組み合わせたり、受託開発もできますのでお客様の様々なご要望にお応えできると思います。

0 件のコメント :
コメントを投稿