皆様こんにちは、ドルフィンシステムの笹生です。引き続き今後数回、USRPなどのソフトウェア無線機での RF 信号レベルとデジタル IQ 信号レベルの関係について調べたいと思います。
前回 (http://dolphinsasoh.blogspot.jp/2018/03/rf-iq-1.html)は、サンプルプログラムでの振幅表現が送信電力設定 (Output Power) に関係なく表示上 +/- 500mV、整数値としては +/- 16384 の振幅としていることを確認しました。
では 送信電力設定 (Output Power) は実際どのように設定されているのでしょうか。
出力をスペアナで計測して設定との関係をみる
まずは、送信電力設定 (Output Power) の値と、スペアナで確認した電力の関係を見てみます。
結果としては以下のようになりました。
送信電力設定 (Output Power) |
Coerced Output |
スペアナでの電力値 |
スペアナ値-CoercedOut |
-10dBm |
-4.851dBm |
-13.49dBm |
-8.639 dB |
0dBm |
-0.351dBm |
-8.73dBm |
-8.379 dB |
10dBm |
9.649dBm |
1.19dBm |
-8.459 dB |
20dBm |
19.649dBm |
11.37dBm |
-8.279 dB |
30dBm |
25.159dBm |
16.42dBm |
-8.739dB |
(USRP-2943R使用、周波数 2GHz・スペアナ VST PXIe-5646R & RF-SAソフトフロントパネル)
ここで設定できる範囲は、おおよそ下限が -5dBm、上限が +25dBm であることがいえると思います。
ここから、約 30dB のゲイン調整ができることがわかります。
以下公開されている USRP の RF ボードの回路図で確認すると、 実際には可変アッテネータ (6bit・Hittite 社 HMC624LP4E) で調整をしているようです。
・UBX 回路図 (USRP-2944R等で使用)
http://files.ettus.com/schematics/ubx/ubx.pdf
・SBX 回路図 (USRP-2943R等で使用)
http://files.ettus.com/schematics/sbx/SBX.pdf
このアッテネータは 6bit で 0.5dB ステップの 0 ~ 31.5dB の調節ができるようなので、確かに設定に対してこのアッテネータで調整をしているようです。またこれらから、+/- 16384 振幅の正弦波の電力の場合、およそ設定値-8.7dB で送信されていることがわかります。
設定とは別に IQデータの振幅でも送信電力は変わってきますのでサンプルでの送信電力設定は送信電力の絶対値ではなく、ゲインの設定だと考えた方がよさそうです。
まとめ
設定している USRP-RIO サンプルの Output Power はゲインを調整しており、実際には可変アッテネータを制御していることがわかりました。
次回は受信側での関係を見てみたいと思います。
0 件のコメント :
コメントを投稿