NI RF Data Recording APIって何?

こんにちは、ドルフィンシステムの笹生です。

今日の記事は「NI RF Data Recording APIって何?」というタイトルでお送りします。


最初は「AIスペクトルセンシングのデモをやってみた!」的に実践した内容をと思っておりましたが、ちょっと時間的に厳しかったので、実際に公開情報を確認することにしました。中心にあるのは AIそのもの というより、AI/ML向けのRFデータを収録・整理するための基盤 のようだったので、今回まずはそのあたりを掘り下げてまとめてみました。

こちらの github の公開リポジトリでは、この API は「実世界の RF データセットを簡単かつ自動的に記録するための、無償オープンソースの Python ベース API」と説明されています。さらに、記録データを SigMF 形式で扱うことが前提になっており、メタデータ付きで RF データセットを整備しやすいのが特徴とのことです。

やってみた!という記事につなげるため、NI のこちらの動画で紹介されているような Jetson 構成ではなく、まずは手元で試しやすいように Ubuntu 24.04 LTS のPC + USRP B210 という構成を想定して調査してみました。


結論からいうと、いきなり「AI検出を派手に動かす」よりも、まず RF データ収録基盤としての意味を理解するほうが、この API の価値が見えやすいと感じました。

NI RF Data Recording APIって何?

ざっくり言うと、NI RF Data Recording API は、USRP で取得した IQ データを、あとから再利用しやすい形で記録するための仕組みだそうです。

単なる「収録のツール」ではなく、設定ファイルベースで収録条件を管理し、SigMF 形式で保存し、AI/ML用途にも流しやすい形でデータセット化することが意識されています。NI の公開ページでも、JSON / YAML ベースの設定、SigMF への変換、実世界データセット生成、AI/ML 研究用途への適合性が強調されています。

無線の現場では、「まず信号をきちんと取る」「あとで再現できる形で保存する」「測定条件を追えるようにする」という部分がとても重要です。

AI の話になるとモデルや推論の華やかな部分に目が行きがちですが、実際には 前段のデータ取得基盤がかなり大事だと感じました。この API は、まさにその部分を扱いやすくするためのものだと理解すると良いかと思います。

ちなみに元々は Northeastern 大学と NI の共同プロジェクトのようです。

リポジトリを眺めてみて

今回、実際にリポジトリや関連資料を見ていて感じたのは、これは「完成済みの製品」というより、研究や試作のためのリファレンス実装に近いということです。

GitHub 上の公開リポジトリは genesys-neu/ni-rf-data-recording-api として公開されており、Northeastern University の GENESYS Lab と NI の共同プロジェクトとして説明されています。GitHub 上の表示では、直近の更新は 2024年8月12日 となっていました。リリースページにも、パッケージ化された公式リリースは今のところ見当たりません。

ここだけ見ると「もう止まっているのかな?」と思うのですが、一方で Ettus の 2025年公開資料では引き続き RF Data Recording API を使った構成例が紹介されています。なので、現時点では 明確な後継が公開されて置き換わった というより、GitHub の更新頻度は高くないものの、技術資料の中ではまだ現役の構成要素として参照されている、という理解がいちばん自然そうです。

これをそのまま“商用製品の完成品 API!”のように期待せず、USRPを使ったデータ収録やAI/ML前処理の考え方を掴むためのサンプルとして見ると、かなり面白いのではないのかなと思いました。

次回はどのように試そうか思案中

もし次回以降試すなら、「AIで RF の何かを判別する」ところにつなげるために、まずは

USRPで安定してIQデータを取得する
収録条件を整理する
SigMF 付きで保存する
スペクトログラムなどで可視化する

という順で進めようかと思いました。

この流れが固まると、その先で AI モデルにつなげたり、自前データで学習させたりしやすくなるのではという理解です。

まとめ

NI RF Data Recording API は、USRP を使った AI/ML向けの RF データセットを作るための収録基盤として見ると、とても分かりやすいと思いました。SigMF ベースで記録でき、設定ファイルで条件を管理しやすく、公開資料でも AI ベースのスペクトルセンシング構成の基盤として使われています。

一方で、公開リポジトリの更新は活発とは言いにくく、現時点では 研究・試作寄りとして受け止めるのがよさそうです。
それでも、無線信号処理と AI/ML の接点を考えるうえでは、とても示唆のある取り組みだと感じました。

もう少し実際に触ってみて、USRP B210 での収録や可視化まで進められたら、その続きもまた報告したいと思います。

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