こんにちは、ドルフィンシステムの笹生です。
USRPはとても柔軟で便利なSDRですが、実際に使おうとすると、最初の立ち上げで意外と手がかかることがありますよね。
「まず信号を取ってみたい」「とりあえず再生してみたい」と思っても、機材の接続、設定確認、保存データの扱いなどで、最初の一歩にひと手間、ふた手間かかることは少なくありません。
そこで今回は私たちが提供している USRPベースのRFキャプチャ/プレイバック環境 を、あらためて実際にお客様目線で使ってみました。
弊社福島のブログの元の記事(「届いたその日から使える――USRPの“めんどくささ”を全部解消したRF収録・再生システム」)でも紹介している通り、この環境は USRPの“めんどくささ”をできるだけ減らし、届いたその日からRFキャプチャ/プレイバックを始められること を目指しています。
手前味噌ではありますが、この記事では写真も交えながら、どんな流れで使えるのか、実際に触ってみてどこがラクだったのか、 をできるだけわかりやすくご紹介します。
今回試した構成
今回の確認では、USRPを使ってRF信号を収録し、そのデータを確認、再生するまでの一連の流れを試しました。
細かな周波数や帯域、チャネル数などは用途ごとに変わりますが、この環境は、元の記事でも触れている通り、用途に合わせて構成できること を前提にしています。
今回は特に、次の点を見ながら試してみました。
・機材を接続して、どれくらいスムーズに使い始められるか
・収録までの流れで迷いにくいか
・収録したデータを、そのまま再生評価につなげやすいか
今回の確認で使用した機材一式。USRPとPCを接続し、RFの収録から再生までを試しました。
・PC : Lenovo Thinkbook (弊社にてチューニング実施)
元記事の動画と同じ構成で、一番売れ筋の構成です。
今回はアンテナを使い、実際に飛んでる Wifi 信号を収録しました。(アンテナは製品には含まれません。)
まずは機材をつないで起動してみます
最初に、USRP本体とPC、必要なケーブル類を接続して起動します。
ここで最初に感じたのは、「とりあえず立ち上げてみる」までがとても素直 だということでした。
USRPをゼロから扱う場合、接続確認や環境準備の段階で一度立ち止まりやすいのですが、この環境ではその最初のハードルをかなり下げられている印象です。
実際、研究開発や評価の現場では、SDRそのものを触ることよりも、まず信号を1回取ってみること の方が大事な場面が多いと思います。
そういう意味でも、この立ち上がりの軽さは大きなポイントでした。
USRPとPCを接続した状態。この状態で PC を立ち上げます。B210はバスパワーで動作するので楽ちんです。
起動後の画面。最初に新規プロファイルを作成するか、すでに使用してある場合はプロファイルを開くことができる。初回なので新規作成を選択。
収録モードか、再生モードかを選び、プロファイルの作成方法を選択する。今回、USRP は PC と接続済みなので自動検出で自動的に基本的な情報を取得できて便利!
ネットワーク越しなども含めて、複数検出されたら、使いたいものをチェックして選べば OK 非常に簡単。
収録条件を設定してみます
次に、周波数、帯域、ゲイン、チャネル数、保存先など、収録に必要な条件を設定していきます。
このあたりは、実際にやってみると意外と差が出るところです。
収録系の作業では、
・何を先に設定すればいいか分かりにくい
・必要な項目が散らばっていて見落としやすい
・収録前の確認だけで時間がかかる
ということが起こりがちです。
その点、この環境は 「まず収録してみる」ために必要な流れが分かりやすい と感じました。
私たちとしても、ただ自由に触れるだけではなく、実際の評価や実験にすぐ入れること を意識して構成しています。元の記事でも、帯域幅やチャネル数を含めて用途に応じた構成を想定していることをご紹介しています。
周波数、帯域、ゲインなどの設定画面。必要な項目は一目でわかると思います。今回は、Wifi の 2412MHz を中心周波数にして、帯域幅 20MHz (IQレート 25MHz) で 2ch 収録してみようと思います。
実際にRFを収録してみました
設定が終わったら、いよいよ収録開始です。
ここで良かったのは、収録を始めるまでが早いだけでなく、収録中の状態も追いやすい ことでした。
初回の確認では、「ちゃんと取れているか」「保存できているか」「止まっていないか」がどうしても気になりますが、そのあたりも把握しやすく、安心して進めやすい印象でした。
実務では、この 「まず1回回してみる」 がすごく大事です。
最初の1回目がスムーズだと、その後の条件変更や評価のサイクルも回しやすくなります。
と、実際の収録保存の前にモニター(実際に保存はしない)でのテストをすることをお勧めします。保存しないこと以外、収録と同じことが試すことができ、スペクトラムも確認できます。
写真7:収録中の画面
RFを収録している様子です。状態を見ながら進めやすい構成です。
収録後に保存されたデータ。取得した信号をそのまま次の確認や評価に回せます。
取れたデータをその場で確認してみます
収録したあとは、保存されたデータを即確認できます。
必要に応じて波形やスペクトラムを見ながら、狙った信号がきちんと取れているかを見ることができます。
この機能は一見地味ですが、実際にはかなり役に立つ機能ではないでしょうか。
せっかく収録したつもりでも、その後の確認や次の工程への受け渡しがうまくできないと、結局使いづらくなってしまいます。
今回あらためて、収録だけで終わらず、その場で確認ができるところまで含めて流れがつながっていることの重要さを感じました。
収録が終わり、即収録したデータを確認できる。波形やスペクトラムを見ながら OK か確認し、次の評価につなげます。
今度は収録した信号を再生してみます
今回、再生側の設定などもすごく楽になりました。
取ったデータをそのまま再生して評価や検証に使える のは、やはり大きなメリットです。
実際の現場では、
・一度取った信号を何度も使って比較したい
・フィールドで収録した信号を社内で再現したい
・特定の現象が出た場面を繰り返し確認したい
ということがよくあります。
そうした場面で、キャプチャとプレイバックがひとつの流れとして扱えると、評価の進めやすさがかなり変わります。
収録の設定を再生のプロファイルに引き継げるので、設定の手間が省けます。評価の流れ全体をスムーズにしてくれるのはかなりポイントが高いと思いました。
写真10:再生条件の設定画面
収録データを再生するための設定画面。収録のプロファイルを取り込めるので、取得した信号を設定を引き継いでそのまま再現評価につなげられます。
写真11:プレイバック動作の様子
収録したデータを再生している様子。実信号を繰り返し使えるのは大きな利点です。
使ってみて感じたこと
今回、私たち自身でもあらためて使ってみて、特に感じたのは次の3つです。
まずひとつ目は、立ち上がりが早いこと。
USRPはとても高機能ですが、最初の一歩が重いと、評価に入る前に時間がかかってしまいます。この環境は、その立ち上がりの負担をかなり軽くしてくれると感じました。
ふたつ目は、流れが分かりやすいこと。
収録して、確認して、再生する。この流れが自然につながっているので、「次に何をすればいいか」で迷いにくい印象でした。
そして三つ目は、本来の目的に集中しやすいこと です。
USRPをどう扱うかよりも、何の信号を取りたいか、どう評価したいか に意識を向けやすい。ここは、研究開発や評価の現場ではかなり大きな意味があります。
元の記事でご紹介している「届いたその日から使える」「USRPの“めんどくささ”を減らす」という方向性は、実際に自分たちで使ってみても、やはり価値のある考え方だと感じました。
こんな用途に相性がいい
実際に使ってみて、特に相性がよいと感じたのはこんな場面です。
・RF信号の収録と再現評価を短期間で回したい
・フィールドで取った信号を持ち帰って再生したい
・受信機評価やアルゴリズム検証を繰り返したい
・環境構築よりも、まず評価を始めることを優先したい
・SDRの柔軟性は欲しいが、立ち上げ工数はできるだけ抑えたい
すべてを低レイヤから自前で組みたい場合は別のやり方もありますが、「まず使える状態まで早く持っていきたい」 というニーズには、かなり合いやすいと思います。
まとめ
今回、私自身でもあらためてこのRFキャプチャ/プレイバックシステムを使ってみて、
USRPの立ち上げでつまずきやすい部分を減らして、RFの収録・再生という本来の作業に早く入れるようにする という考え方は、やはり実務的に価値が大きいと感じました。
元の記事でも紹介している通り、私たちはこの環境を、単にUSRPを使うための仕組みではなく、お客様の評価・実験・開発テーマに合わせて、より早く実験や検証に入っていただくための仕組み としてご提供したいと考えています。
「USRPを使った評価をもっと手軽に始めたい」
「まずはRFの収録・再生をスムーズに回したい」
そうした方には、かなり使いやすい構成になっていると思います。
台数に限りはありますが、デモ機の貸出なども行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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