RFSoC 採用の USRP が登場!USRP X410!


 こんにちは、ドルフィンシステムの笹生です。

なんと、以前 RFSoC のメールニュース&ブログの中で私が切望しておりました「NIさん!RFSoC の USRP だして!」という願いが通じたのか。。。(そんなことはないと思いますが)

なんと! USRP に RFSoC が採用されたUSRP X410 が発表されました!!!


USRP X410 はどんなデバイスに進化したのか?

次世代の USRP ということですので、非常に期待される SDR 機器になりそうですし、Ettus Research の紹介ページでも "We are proud to announce the Next Generation USRP The NI Ettus USRP X410.(私たちは、次世代USRP であるザ・NI USRP Ettus X410を発表することを誇りに思っています。)" と自信が伝わってきます!

実はまだ製品のページにもデータシート等のより詳細な資料はアップロードされていないようでして、この紹介ページが公開されている情報としては今のところ一番詳しいようです。


進化① 送受信 2ポートから 4ポートに!

やはり RFSoC である ZU28DR を使っているだけあって、さすがに 2ポートのままではないですね。従来の X310 の倍である 4ポート送受信に対応しています。

多くのポートに対応させたい場合はいいですね!

進化② 対応周波数が 1MHz ~ 7.2GHz に!

さて、対応している周波数帯域は 1MHz ~ 7.2GHz までとかなり広くなっています。そもそも搭載している RFSoC Gen1 そのものでも RFとしては 4GHz 程度まで対応だったはずです。それをあえて2ステージのスーパーヘテロダインのアーキテクチャを持ってきて対応周波数を広げているのは、 Wi-Fi 6E のライセンス不要な周波数待機 5.925GHz ~ 7.125GHz に対応させるためのようですね!

進化③ 瞬時帯域幅が 400MHz に!

ここは RFSoC の高サンプリングレートの AD, DA のおかげもあると思いますが、瞬時帯域幅が 400MHz になったようです。X310+UBX では 160MHzだったので倍以上ですね!

ということは IQレートは最大 500Msps になるのでしょうから 最大の転送レートは 4ch で最大 2000M sps * 4 = 8GB/s になりますね!!


進化④ インターフェースとしての PCIe が x4 Gen1 から x8 Gen3 に!

これまで Ettus USRP X310、NI USRP 2954 等では、PCIe インターフェースは PCIe x4 Gen1 でした。この場合安定してるのは Max 800MB/sまでので、実際のところIQレート 200Msps 2ch = 1.6GB/s の転送は厳しい状況でした。→弊社のRF収録の説明記事に詳しい解説があります。

この USRP X410 では PCIe x8 Gen3 なので、実行値では Max 8GB/s になります!

最大転送レートは単純計算で 400M BW 4ch = 500Msps*4 = 2Gsps = 8GB/s なのででギリギリ転送できそうですね!

製品ページには、NI-USRP、LabVIEW FPGA の場合のみのサポートであると書いてあります。

その他の特徴

この紹介を読んでみると、RFSoC で Built-In IP として備わっている SD-FEC の機能なども使用することが出来そうですし、ARM コアもあるのでスタンドアローンでの使用もできるようになるみたいです!また、ソフトウェアとしては X310 など同様 UHD ベース、GNU radio、LabVIEW も使用できるみたいですね!RFNoC でも FPGA開発できるようです!

製品ページにはNI-USRP、LabVIEW FPGA 対応は 2021 の後半の方に対応だそうです。


フロントパネル


結構フロントパネルはシンプルですね。

RF の Tx/Rx 兼用のポートが 4つ、RX 専用のポートが4つ、GPIO が 2つあります。

これまでの X310 同様、TDD のように使う際には Tx/Rx のポートを使い、その場合 RX専用ポートは使用しないようです。

LEDは、ポートの脇にあるように見えます。


リアパネル

左上にiPass+ zHD というポートがあります。 SAS-3 規格のポートのようですが説明を読むと、ここが PCIe x8 Gen3 のポートに該当するのでしょうかね。

QSFP x2 は 10GbE or 100GbE に対応するようですね。※製品ページには 100GbE は 2021 の後半ごろサポートするそうです。

左下の SMA コネクタは左から

GPS ANT、 Ref In、 PPS In、TRIG IN/OUT

だそうです。トリガの IN/OUT が SMA でできるのは意外といいかもしれませんね。

右上にいって、LED が 4つあり、LED 0,1,2, PWR というアサインです。

その右にパワーコネクタがあります。

右下にはデバッグインターフェースとして USB Type C の Console JTAGと、 USB to PS というコネクタが 2つあります。

その右には通常の RJ45 タイプの ETHERNET コネクタがあります。これは RFSoC の PS (ARM プロセッサ) につながっているものと思われます。


MIMO 用の LO 位相同期はできる?

今回、実は一番気になったのはこの各ポートでの LO 位相同期ができるかどうかです。

MIMO といっても定義が色々あると思いますが、紹介のページには LO の位相の同期まで含めて MIMO に対応しているかの記述は見当たりませんでした。

各チャンネルが独立しているという記述もありますし、あえて LO 同期についてや MIMO の言及がないので、恐らく X410 は位相の同期まで含んだ MIMO に非対応なのではないでしょうか。

もしそうだとするならば 位相を合わせる方法が別途必要な場合に手間がかかるため、もし LO 同期できないとすると非常に残念です。

→と思ったら製品のページにこんな記述がありました。

"While it is possible to get clocks and LOs derived from a common reference, either through a 10 MHz reference or through the GPSDO, the USRP X410 does not have the ability to import or export the local oscillator signals from the superheterodyne RF signal chain."

「10 MHzリファレンスまたはGPSDOのいずれかを介して、共通のリファレンスから派生したクロックとLOを取得することは可能ですが、USRP X410には、スーパーヘテロダインRF信号チェーンから局部発振器信号をインポートまたはエクスポートする機能がありません。」

やはり、はっきり LO の位相についての同期できるという感じの記述ではないので、できないんでしょうかね。


まとめ

紹介ページにもあるように、かなりの自信作であることは間違いないようです。

対応する周波数も帯域幅もポート数も、これまでで最も進化した USRP であることは間違いないと思います!

もう価格も出てますし、問い合わせればすぐにでも購入できそうなのですが、ドルフィンでも手に入れるべきかどうか、これだけの情報だとちょっと不安なので、詳細な資料の公開を期待したいですね!

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