こんにちは。ドルフィンシステムの笹生です。
久方ぶりの開発事例ブログです。
今回は車載ラジオ向けの研究のための弊社フェージングシミュレータ「Riviera」のカスタマイズ事例です。
以下弊社開発事例からの抜粋です。
2016年、車載されるデジタルラジオ(FM)の品質評価システムに使用。走行している車が電波を受信するとドップラー効果が発生し、デジタルラジオ等の無線品質が劣化する。この状態をフェージングシミュレーターで模擬する事が出来、客先では定量的な評価環境を構築可能になった。
弊社では、標準のフェージングシミュレータの機能だけでは仕様を満足することができない場合、お客様と密に検討し、フェージングシミュレータのカスタマイズをして納品させていただく事が可能です。この開発事例の際にはアンテナ指向性パターンに対応したフェージングシミュレータのカスタマイズをご要望でした。
弊社のフェージングシミュレータの利点としてはこうしたお客様に合わせた機能のカスタマイズができることにあります。
FPGA に対応した フェージング IP コアと、それを制御するソフトウェアを独自に開発しているのでそうした柔軟な対応が可能になっています。
アンテナ指向性パターン対応へのカスタマイズ
デフォルトのフェージングシミュレータソフトウェアでは、アンテナ指向性パターンへの対応はしておりません。しかしながらお客様から搭載するアンテナの受信状況も模擬しておきたいとのご要望があり、指向性を持たせたうえでフェージングをシミュレーションできるようにカスタム対応をさせて頂きました。
弊社のフェージングシミュレータでは、遅延パスの1つのパスを32個の素波でレイリーフェージングを表現しています。デフォルトでは32個の素波は全方向から等間隔で到来しており、さらにはアンテナの影響は均一である前提で設計されています。
その素波の振幅、位相差をアンテナパターンに合わせて細かく制御することで、到来角によっての振る舞いの変化を再現させることができるようになりました。
この素波毎に独立して設定が元々できていたためにアンテナパターンへの対応が比較的素直にできたと思います。
ちょっとわかりにくいかと思いますが、図を用いて説明したいと思います。
例えば以下のようなアンテナパターンがあったとします。円の外に行くほどゲインがあることを示します。
パスの設定として、移動方向に対して到来方向 90度、角度広がり (Azimuth Spread) 120度、電力広がり(Power Spread 中心と端の電力差) 0dB とした場合を考えます。この青い線一本一本が素波の方向で、長さが電力になります。当電力なので均等に扇型に見えます。
アンテナの移動方向に対してのオフセットは 11 度に設定した場合以下の図のような形で素波が受信されることになります。
この設定を各遅延パスに対して行います。
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