実際の RF信号レベルと、デジタル IQ 信号のレベルの関係性-1

皆様こんにちは、ドルフィンシステムの笹生です。

今日から数回は、USRPなどのソフトウェア無線機での RF 信号レベルとデジタル IQ 信号レベルの関係について調べたいと思います。

ソフトウェア無線機ではデジタル IQ 信号を作成して任意の RF 周波数で出力する、あるいは任意の RF 周波数での信号を受信してデジタル IQ 信号に変換することが可能です。では実際のところ、デジタル IQ信号のある振幅やRFゲイン等の設定で 0 dBm の出力にするとはどうすればよいでしょうか。あるいはその逆で、例えば 0dBm の受信レベルでは RFゲイン等の設定でデジタル IQ 信号ではどの程度の振幅になるのでしょうか。

そのあたりを実際に調査しながら、考えてみたいと思います。

送信波形について

まず以下の条件での送信レベルについて調査をしていきたいと思います。

・対象ハードウェア : USRP-2943R

・使用するプログラムは LabVIEW 2015 USRP Simple Streaming サンプルプログラムの Tx Streaming (Host).vi



このサンプルソフトウェアでの設定は上記のようにしました。

image

送信したい信号のトーン周波数は 10kHz で、その中心周波数は 2GHz、送信レベルは 0dBm を期待しての設定です。

このサンプルソフトウェアでは、ホスト(PC)で送信するトーン信号のデジタル IQ 波形を作成し USRP に繰り返し転送をします。そして実行すると、画面右側のグラフに送信している波形が表示されます。

まず 1MS/s で 8192 個のデータを生成しているので、横軸の時間は 8.192ms までの表示となります。

そして縦軸の振幅ですが、これは 500mVp-p での正弦波になっています。

疑問-なぜ 0dBm なのにグラフの振幅が 500mV なのか?

ここでまず最初の疑問がでてきます。

0dBm は 1mW の信号ですから、本来振幅であれば 50Ω系で 224mV 程度になるはずです。

なぜ設定した値とグラフに表示されている電圧が異なるのでしょうか?

実はこのグラフで表示されている波形は、Output Power の値によらず常に 500mV での振幅になっているのでした。

サンプルで使用されている Configure Tx.vi という関数で作成しているトーン信号の振幅は RF 設定とは関係なく常に 0.5(V) で生成しており、それをグラフに表示しているので設定した Output Power に関係なくグラフには常に 500mV の正弦波が表示されていしまうというわけです。

表示は mV でしたが、実際に USRP のハードウェアに送られているデータの振幅は mV 単位ではなく整数 16bit です。ではその整数部分での振幅はどうなっているかというと、最大振幅+/- 16384 の正弦波で作成されています。こちらも、Output Power の設定によりません。

次回- Output Power の実際の設定はどうなっているのか

OutputPower を変更すると確かに送信レベルは変わることはわかります。

では Output Power はどこに設定されるのでしょう。

次回は Output Power の設定がどこに反映されるのかについて調査したいと思います。

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