USRP-RIO での「ローカルリークの影響を軽減する」方法

こんにちは、ドルフィンシステムの笹生(さそう)です。

今回は USRP-RIO での「ローカルリークの影響を軽減する」方法についてご紹介します。

ローカルリークの影響

USRP-RIO などの RF モジュールでダウンコンバートされた信号にはローカルリークが DC オフセットとして信号に影響を与え性能を劣化させることがしばしばあります。

DC オフセットを予め計測しておいて、信号から引き算して影響を軽減することは可能ですが、USRP-RIO の周波数設定の仕方でローカルオフセットの影響を軽減してしまうことができます。

USRP-RIO のサンプルは周波数の設定項目が 2箇所

USRP-RIO のサンプルには周波数の設定項目が 2箇所あります。

一つは「Frequency」もう一つは「LO Frequency」です。

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・「Frequency」設定

この 「Frequency」は USRP-RIO が受信または送信する信号の中心周波数の設定になります。

つまり、受信したい信号の中心周波数をここに設定することになります。

・「LO Frequency」設定

もう一つの「LO Frequency」には RFモジュールのローカル発振器の周波数が設定できます。

この「LO Frequency」にはデフォルトで「-1Hz」という値が設定されていますが、これは本当に -1Hz が設定されているわけではなく、特別な値として「Frequency」と同じ設定値にするという意味です。

さてこのように信号の中心周波数と、ローカル発振器の周波数を分けて設定できることで、「ローカルリークを帯域外に逃がすことができる」というメリットがあります。

USRP-RIO の受信側における周波数変換の流れで見てみましょう。

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まず、USRP-RIO の RF モジュールでは、「LO Frequency」の設定に応じて、受信した RF 信号がダウンコンバートされた IQ信号になります。そして ADコンバータにてサンプリングされた信号になります。

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この時、受信した信号の中心周波数と「LO Freqency」が同一の場合(設定が「-1Hz」なら)、ベースバンドまでダウンコンバートされた信号にはローカルリークも一緒に残ってしまいます。(上図)

しかし、受信した信号の中心周波数と「LO Freqency」が異なる場合(信号の帯域外に LO がある場合)、ベースバンドまでダウンコンバートされた信号の外にローカルリークが移動します。(下図)

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そのため、周波数ダウンコンバート後の FPGA DDC の信号処理によるフィルタによって、ローカルリークの成分はカットされ影響を軽減することが可能です。

実際に「Frequency」=「LO Frequency」でローカルリークが残った状態と、「Frequency」>「LO Frequency」+10M にしてローカルリークが軽減した状態のスペクトラムを見てみると違いが一目瞭然です。(信号帯域は 8MHz = IQレート 10MS/s)

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「Frequency」=「LO Frequency」でローカルリークが残った状態のスペクトラム

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「Frequency」>「LO Frequency」+10M にしてローカルリークが軽減した状態のスペクトラム

今回は RF 周波数の設定をうまくすることで、ローカルリークを軽減する方法について説明しました。

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